【在外教育施設派遣】日本人学校教員に発給される緑色のパスポート(公用旅券)とは!?

てつを
てつを
よっしゃぁー!在外教育施設派遣の採用試験に合格して、これで念願の日本人学校で働けるでぇ!まずは、派遣される前にパスポートを取りに行かなあかんな♪

ちょっと待って!その必要はないわ。もし日本人学校で働く場合は、「特別なパスポート」が発給されるの。まずは、この記事をしっかり読んで勉強するといいわ。
てつこ
てつこ

 

皆さんは、写真のような緑色のパスポートをご覧になったことはあるでしょうか?このパスポートは「公用旅券」と呼ばれるもので、黒色や赤色の「一般旅券」とは区別されています。

 

実は在外教育施設派遣の試験に見事合格し、教員として日本人学校に派遣されることになったあかつきには、この「公用旅券」が発給されることになります。

 

この「公用旅券」とは、どんなパスポートなのか、一般的にはあまり知られていないと思います。この記事では、日本人学校教員に発給される「公用旅券」とはどのようなパスポートなのか解説してみたいと思います。

 

その①|公用旅券とは

 

 

そもそも「公用旅券」とは、どのようなパスポートなのでしょうか。

 

公用旅券とは、国会議員や外交官、他にもJICA職員のような公的機関の職員などに発給される特別なパスポートのことで、国の用務により渡航する者が、その用務を効率的に遂行できるように外務省から発給されます。

 

ですので、発給される際には「日本国の代表として赴任するんやから、しっかり働いてきてや!相手の国に対して、くれぐれも失礼のないようにせなあかんで!」と厳しく指導を受けます。

 

この「公用旅券」は日本人学校教員だけでなく、その家族にも発給されます。公用旅券で赴任するということは、公務を意味し普通の旅行などとは大きく異なります。

 

そのため、教員同様に配偶者にも制限があり、現地で就労活動を行うことは、この公用旅券の意義に反することなので、認めらません。

 

 

その②|公用旅券のメリット

この公用旅券を持つと、色々な特権が与えられます。では公用旅券を持つことで具体的にどんなメリットがあるんでしょうか?ここからは、私が感じた公用旅券のメリットをいくつか解説したいと思います。

 

①「信用」のされ方が半端じゃない

日本のパスポートは「世界最強」ということをお聞きになったことはありますか?

 

実は、日本のパスポート保有者がビザなしで渡航可能または到着ビザで入国できるのは193カ国・地域で、その数はなんと世界一なんです!それだけ日本人というのは世界から信用されているんですね。

 

もともと信用度の高い日本の「公用旅券」を保持しているということは、日本人の中の日本人ということですから、相手国からしたら、そりゃ~安心ですよね。日本政府お墨付きの人間ですから、「ようこそ!うちの国へ!」と温かく迎え入れてくれるわけです。

 

実際、入国審査の際にも普通の旅行のときなら「何しに来た?」「仕事は?」「滞在期間は?」など、しつこく色々聞かれるのですが、この公用旅券で入国する際は、入国審査官と「やぁ、調子はどうだい?」みたいな世間話だけして終了。みたいなこともありました。ほんとにこれでいいの?と思うくらいでした(笑)

 

②税金などで優遇・免除される

日本で働いている場合は、「住民税」「所得税」など様々な税金が給料から天引きされていると思いますが、公用旅券で赴任した場合、その国での様々な税金が優遇もしくは免除されます。

 

実際、私も赴任していた3年間は、ありがたいことに現地で「所得税」「住民税」「自動車税」などの税金を払うという機会はほぼありませんでした。

 

ただし、どのくらい優遇されるかは国によって異なるので、注意が必要です。国によっては、そのような優遇措置がない場合もありますので、注意してください。

 

③入国審査で並ばなくてもよい

海外旅行に行ったことのある人は、経験があると思いますが、空港での「入国審査」って、長時間の順番待ちをしなくてはいけないですよね。ひどいときには30分以上になることも・・・

 

でも「公用旅券」があれば、この入国審査で長蛇の列に並ばずに入国できるんです。空港で長蛇の列ができているのは「外国人(Foreigner)」と書かれているレーンだと思います。

 

しかし、「公用旅券」を持っている場合は、そのレーンとは別の「外交官(Diplomat)」と書かれているレーンに並ぶことが許されており、大抵の場合、このレーンには人が並んでいません。そのため、飛行機から降りてすぐに入国ということが可能になります。

 

長蛇の列を横目に見ながら、さっと入国できたときには、ちょっとした感動を覚えました(笑)

 

④高速道路が無料になる

私が赴任していた国では、「公用旅券」を持っていると高速道路もタダになりました。手続きは簡単で、高速のICで係員にパスポートを見せると、お金を払わずにゲートを開けてくれます。

 

中には、わざわざ敬礼をしてくれる係りの方もいて、逆にこっちが恐縮したこともあります。

 

ただし、これも国によって適用されない場合もあるので事前に確認が必要かと思います。

 

その③|公用旅券のデメリット

次に「公用旅券」を持つことのデメリットを考えてみたいと思います。実際のところ、メリットはあっても、デメリットはほとんどないのですが、あえてあげるなら以下のようなところかなと思います。

 

①紛失すると大変なことになる

種類に関わらず、海外でのパスポートの紛失は絶対NGです。

 

特に「公用旅券」は外務省から特別に発給されているものになりますので、発給の際には「絶対に紛失するなよ!」と、かなり強く念押しされます。様々な特権を与えられることや、職責を考えると当然ですね。

 

もし、紛失すると各国の大使館や、場合によっては相手国にも迷惑がかかります。また、簡単に再発行することができないので、管理や扱いにはかなり注意が必要です。くれぐれも管理は厳重に!

 

②公用旅券では行けない国もある

実は公用旅券で行けない国・地域というのも存在します。この場合は、一般旅券で赴任することになりますので、先ほど述べたような特権は与えられません。

 

具体的には台北,台中,高雄所在の日本人学校に赴任の場合は、一般旅券が発給されます。

 

また「公用旅券」を持っている場合、旅行などで任国外に行く際に、別途ビザを取得する必要がある場合もあります。

 

例えば、中国に入国する場合は「一般旅券」の場合はビザは不要ですが、「公用旅券」の場合はビザを取得する必要があります。

 

この記事の終わりに・・・

いかがだったでしょうか?このように、公用旅券を持っていると様々な特権が与えられます。しかし一方で、それだけの責任も伴います。公用旅券で赴任するということは、国を代表しているわけですから、日本人として恥ずかしくない行動をとることはもちろん、相手の国に対しての儀礼にも通じている必要があります。常に自分は見られているという自覚と誇りをもって、頑張ってください!