【在外教育施設派遣】日本人学校での任期はどの何年間?日本人学校間での転勤はある?

「日本人学校で働いてみたいけど、任期は決まっているの?」

「働く年数は自分で選べるの?」

 

このように日本人学校での勤務を希望される方の中には、もしご自身が働くようになった場合の「任期」を気にされる方も多いのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、日本人学校教員の任期について解説していきたいと思います。なお、この記事では文科省の「在外教育施設派遣制度」を活用した場合を想定して解説していきたいと思います。

 

外部リンク:在外教育施設派遣教員について:文部科学省

 

その①|派遣教員の任期は原則として2年間

結論から先に述べると、文科省の「在外教育施設派遣制度」を利用して日本人学校で勤務する場合の任期は、原則として2年間という規定があります。

 

そのため在外教育施設派遣制度の教員採用試験に合格し、日本人学校で勤務するとなった場合には少なくとも2年間は命じられた日本人学校で働くことが確定します。

 

この任期を長いと見るか、短いと見るかは人それぞれですが、この制度を利用される先生たちの多くは、「海外でチャレンジしたい」という意欲的な人だと思うので、もしかすると物足りないと感じる人も少なくないかもしれませんね。

 

その②|派遣期間の延長は可能

原則として2年間の派遣期間ですが、制度上はそこからさらに2年間を限度に延長することが可能です。つまり、最大で4年間まで任期を伸ばすということが制度上は可能になっています。

 

※在外教育施設教員派遣規則

 第五条二項 派遣教員の派遣期間は原則として二年間とする。ただし文部科学大臣が必要と認めた場合には、二年間を限度に派遣期間を延長することができる。

 

そのため、原則は2年間の任期ではありますが、派遣された教員のほとんどは、1年間任期を延長して、3年間在籍しています。ちなみに、私も派遣された日本人学校に3年間在籍させてもらいました。

 

任期の延長方法ですが、日本の公立学校と同様に、毎年学校長との面談が行われるので、そこで校長に延長の意思があることを伝えればOKです。勤務状況が良好であれば、任期が1年間延長されます。(ただし、勤務状況に問題があると延長できない場合もあるので注意が必要です)

 

 

その③|イレギュラーなケースもある

先ほど、多くの派遣教員が3年間勤務すると書きましたが、もちろん例外はあります。まず、任期の延長をせずに、2年間で帰国する場合です。このパターンは、私の周りにも少なからずいらっしゃいました。その理由は様々ですが、以下のようなものが多いです。

 

・本人や家族の心身の不調(体力的にこれ以上の勤務は厳しい状態)

・本人や家族に何らかの人間関係のトラブルがあり、勤務の継続が難しくなった。

・日本にいる両親に急遽介護が必要になった。

 

期待をもって、日本人学校に赴任されたものの、日本との環境の違いにうまく適応することができずに、やむなく2年で帰国するといった感じの方が多い印象です。人間関係なども含めて、うまく適応できれば良い経験を得ることができますが、そうでない場合、体調や人間関係の立て直しが難しいのも日本人学校の現実です。ただ、私の感覚だとやはり2年間では、学校内外ともにできることが限られるので、より長くいられることをおススメしたいです。

 

先ほどとは反対に、ごく稀にではありますが任期を2年間延長して、4年間勤務される方もいらっしゃいます。ちなみに私の知人にも数名、同じ日本人学校で4年間勤務された方がいらっしゃいますが、聞いたところによるといくつかの条件があるようです。

 

・勤務状態が非常に良好であること(開示面談で評価がすべてS以上)

・学校運営上で欠かせない人物であると校長が判断した場合(役職・教科・分掌など)

・本人の強い希望があること

 

これらの条件を満たしている場合に限り、4年間勤務することが可能になります。ただし、やはりこれは特殊な例であって、望んでいても希望がかなわないことが多いようです。自分の努力ももちろんですが、周囲の環境や運に左右される部分が大きいのが実際のところだと思います。

 

その④|日本人学校間の転勤はない

最後に日本人学校間での転勤はあるのか?ということですが、結論から言うとありません。

 

文科省からの派遣先を命じられた後に、派遣先を変更したり、そこから別の学校に転勤するといったことはできません。

 

ただし、夏休みなどの長期休業中に、個人的に勤務校以外の学校へ研修に行くような先生方はいました。もちろん、滞在にかかる費用は実費になりますが、日本人学校にいる間は、なかなか他校の実践を見る機会も少ないので、貴重な経験になると思います。

 

この記事の終わりに

いかがだったでしょうか?派遣教員の多くは、3年間その日本人学校で勤務することが一般的ですが、個人的な感想としては「3年間はあっという間だったな」と感じています。

 

現地では、その国の言語や文化を学んだり、新しい友人ができたりと日本ではなかったような経験をたくさんすることができます。色んなことにチャレンジすればするほど、できることも増えてくるので、現地にいるメリットをたくさん享受することができるようになります。

 

ただ私の場合は、3年たってようやく色々なことが理解できて、「さぁこれからだ」というころに帰国となってしまったので、少し残念ではありました。しかし、このたった3年間で学べることというのは、非常に濃密なものであったと思っていますし、私の人生の宝物になっています。

 

この記事が読んでくださった方にとって、お役に立てれば幸いです。